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文Tube 「跡は継がせない」

甘音屋は私が初代である。と同時に終代である。

つまり息子に跡を継がせないということである。

他に跡を継ぎたいという人が現れた時はその時に

考えるが、森家としては私が終代である。

息子には「継がせない」息子も「継ぐ気はない」

と意見が一致している。

 

息子には息子の人生がある。

彼の可能性を和菓子という括りで縛りたくない。

私がそう言うと「どうしても息子さんが

継ぎたいと言ったら?」と聞かれる。

それでも継がせない。そもそも跡を継がせる為の

教育もしていないし、どうしても菓子を志す

というならば、自分で自分の「新しい菓子」

を作ればよい。

 

少し話が反れるが、私の前職は百貨店マンだ。

異動が多い職種だったが本当に様々な経験を

させて頂いた。特に東京事務所での勤務は本当に

良い経験となった。

 

東京事務所は高島屋の本社にあった。

さすがは大手百貨店である。いろんな情報が

常に飛び交っていた。

 

当時私は「新業態開発」という業務を担当し、

百貨店という枠にとらわれず、東京の

「新しい情報」を姫路本社の社長以下役員に

報告をするという仕事を頂いていた。

業務自体は大変責務の重いお仕事だったが、

拘束時間もなく上司もいない。極端に言えば

家で寝ていても分からない。そんな「自由」な

業務だった。

縛られることが嫌いな私は「自由」に東京を

飛び回った。しかし「自由」という言葉には

「責任」という言葉がセットである。

月に一度本社で報告会があり、社長以下役員への

報告は情報の鮮度、内容が求められた。

情報量はボリュームが無ければ決して乗り

越えられるものではなかった。

自由な業務だったが、早朝から夜遅くまで都内を

走り回って必死に情報を収集していた。

 

そんな仕事が大好きだった私が脱サラをして

和菓子屋を始めた。

開業して11年になる。この11年間様々な事に

取り組んできたが、何よりも同業他社が

やらない様な「新しい取り組み」に

力を注いできた。「新業態開発」である。

「去年の成功は今年の失敗に繋がる」とも教育を

受けてきた私は前年の実績のない新しい施策に

毎年取り組んでいる。「新しい」という言葉は

軽く新鮮なイメージがあるが私にとっては、

重く(ネガティブではなく)も責任を感じ、

追いかける。いや追いかけらるような

イメージの言葉である

 

話を息子に戻す。彼は来年受験である。

親としては東京の学校を勧めた。本人もどうやら

そのつもりのようである。希望通りに行けば、

彼も自由に都会の風を吸い、充実した学生生活を

送るであろう。また「跡を継がない」という

ある意味「自由」を与えた。

 

しかし和菓子屋を継がせるための教育は一切して

きていないが、幼い頃から私にしか出来ない事を

教えてきたつもりである。

 

また私も親である。彼に「自由」を与える

代わりに「責任」を与えた。

 

彼も気が付いているはずである。

自分の名前に「新」という一字が入っている

意味を。

 

彼の「新業態開発」を楽しみに、私も負けずに

引き続き「新業態開発」に取り組んでいきたい。

そしていつの日か

初代であり終代としての仕事を遂げたいと思う

土日限定和洋菓子「WA YOU」6/27・28

今週の土日限定和洋菓子「WA YOU」は
「TSU TSU MU」メロンです。
シリーズでは初登場のメロン味です。
ふんわりとしたスポンジ生地に生クリームと
茨城県産のメロンを挟み、アクセントにメロンを
添えた贅沢な逸品です。
本店限定販売で数量限定(お一人様3個まで)です。

土日限定和洋菓子「WA YOU」6/20・21

今週の土日限定和洋菓子「WA YOU」は

「OMU」マンゴーとブルーベリーです。

当店特製のどら焼き生地に特製フルーツ

生クリームを挟みました。

甘みと酸味が詰まったブルーベリーと

この季節限定の国産マンゴーをトッピング

しました。本店限定、個数限定(お一人様4個)

商品です。

 

 

 

 

土日限定和洋菓子「WA YOU」6/13・14

今週の土日限定和洋菓子「WA YOU」は

クリームどらやき「OMU」のいちご、

マンゴーです。ふんわりとしたどら焼き生地に

生クリームとフルーツをトッピング。

酸味と甘みが凝縮された国産マンゴーを

使用したマンゴーはこの季節限定です。

本店限定お一人様計4個までの販売です

玄関にて

玄関はどんな時でも人を出迎え、

見送ってくれる。

いやな事、嬉しい事、つらい事

中と外で様々な感情が行き交う。

よくも悪くも思い出が詰まった大切な場所である。

 

今朝、出かけようとその玄関に向かい

通勤用のスニーカーを履こうと見ると

随分と汚れていた。

早く目覚めた事もあり、出勤前であるが

早々に洗う事にした。

 

その昔は風呂場でゴシゴシとタワシで

洗っていた。今では「KUTSU石鹸」

なるものがあり、専用ブラシに液体をつけて

磨くと見る見るうちに汚れが落ちていく。

気持ちが良いくらい。

めんどうな靴磨きが楽しくなる。

 

そのせいか?

 

玄関に脱ぎ捨てられた二回り小さい長男の

スニーカーも洗濯を「おねだり」しているように

見えた。

出勤までまだ時間がある。

「よしよし」と長男の分も洗うことにした。

 

「はて、長男は洗った事に気が付くだろうか?」

「おそらく気づくまい」そう思いながら

慣れない手つきで二足目の洗濯に入った。

 

二足目となると慣れてきた。集中力も落ちる。

いつもそうだ。集中力のない私は、気を抜くと

すぐ空想や妄想に入るが、明け方だったせいか

ぼんやりと薄暗い玄関が、空想している時の

モノクロの情景と重なった。

同時に走馬灯のように過去の玄関先での

出来事が再生された。

 

動画の登場人物は昨年末亡くなった叔母である。

 

叔母の家は当家から二軒隣り。

元は当家の母屋に住んでいたため、

親戚と言っても家族のような存在だった。

 

いつも用事がある時、呼び鈴を鳴らすと

こちらが玄関に出る前に部屋に入ってくる。

戸惑うスキさえ与えずに。

それが滑稽で自然で、とにかく憎めない

人だった

 

また優しかった。私には特に甘く「まあちゃん」

と50前のおじさんを捕まえて子供扱いする

のは叔母だけだった(笑)

 

そんな叔母に一度だけ叱られたことがある。

「甘音屋はお客様に来てほしいと宣伝するが、

来てくれたお客様に対して看板も出さ

ないのか!不親切な店だ!」と。

散々叱られた為、私の拘りを曲げて渋々作った

鉄の看板が、今も庭先でお客様を出迎えている。

看板を見ると当時の叔母とのやり取りを思い出す。

とにかく筋が通らないことは嫌いな人だった。

 

彼女は義人でもあった。

困った人に手を差し伸べ、助け、尽くし、

人の為に生きた人だったが、人一倍、

人に対して感謝を忘れない人だった。

「ありがとう」が口癖で、

心からあふれ出る感謝の気持ちを

素直に表現し、皆に伝えていた。

そんな彼女にはいつも人が集い、

私も叔母が好きだった。

 

叔母は冬になると決まって同じ話をしてくれた。

幼い頃、一緒に暮らしていた曾祖父の話である。

「あなたのひい爺さんは冬になるとストーブの上に

丸い石を並べていた。毎朝私が学校に行く前に

その石をハンカチにくるんで「行っておいで」

と手渡し見送ってくれた。

それはもう温かかったよ。今のようにカイロが

ないからね。

お爺さんは厳しかったけれど、とても優しい

お爺さんだったよ」と幼き少女のように話して

くれた。

親族びいきだが、良い話である。

 

曾祖父の孫への愛情が伝わり、孫である

叔母からの感謝が感じられた。

私はそんなカイロさえ無い時代に存在しないが

「感謝」「感動」「感激」が身近に溢れていた

気がする。

 

逆にモノが豊富にある今の時代にその全てが

遠く感じる。

 

ここから私見を述べさせていただく事を

何卒ご寛恕を頂きたい。

 

今回のコロナウイルス感染拡大について、

いきさつは別として「致し方ない出来事」である。

国のせいでもない。県のせいでもない。人でも

ない。悪いのはウイルスである。

そんな中で助成金や給付金が届き、

必要か否かは別としてマスクが届く。

ありがたいことである。

 

給付金が少ない?それは元々無いものであり、

頂けるだけありがたいことである。感謝せねば。

当店もこのコロナには相当悩まされ、苦しんだ。

今もなおである。

しかし、もっと苦しんでいる人もいる。

もっと言えばコロナに感染し、亡くなった人が

いるのである。医療の現場では命を懸けて

コロナと闘う人もいる。

そう考えたら「給付金が遅い」

「マスクが小さい」など言えたものではない。

まずは「感謝しなくては」と思う。

今、叔母が生きていたらそう言ったに違いない。

 

そんな叔母の事を思い出しながら2足目の

洗濯を終えた。

「息子は気づくかな?」

またそんな事を考えている。

私はまだまだ叔母のような義人とはいえない。

土日限定和洋菓子「WA YOU」6/6、6/7

今週の土日限定和洋菓子「WA YOU」は

「TSU  TSU MU MATCHA」です。

ふんわりとしたくちどけの良い抹茶生地に

濃厚な抹茶クリーム、いちごを挟みました。

本店のみの販売で、数量限定販売(お一人様

3個まで)です。

皆様のご来店心からお待ち申し上げます。

土日限定和洋菓子「WA YOU」5/30、5/31

今週から土日限定和洋菓子「WA YOU」を

再開致します。

今週は「TSU  TSU MU MATCHA」です。

ふんわりとしたくちどけの良い抹茶生地に

濃厚な抹茶クリーム、いちごを挟みました。

本店のみの販売で、数量限定販売(お一人様

3個まで)です。

皆様のご来店心からお待ち申し上げます。

あまねや 大津長松店 営業再開日の変更について

あまねや大津長松店ですが準備が整ったため、
当初より早く6月4日より下記の通り営業を
再開します
自短営業
販売10時〜18時
喫茶12時〜18時(メニュー制限有)
尚、当初再開日だった10日水曜日は
定休日となります

駅北店、長松店の営業再開について

自粛を致しておりました店舗について下記の通り

営業の再開を行います。

姫路駅北店

6月1日より営業再開(時短営業)

平 日 9:00~17:00

土日祝10:00~17:00

 

長松店

6月11日より営業再開(時短営業)

販 売 10:00~18:00

喫 茶 12:00~18:00

喫茶ラストオーダーは 17:00

 

新型コロナウイルスの影響による営業自粛に

ついて皆様には大変ご迷惑おかけ致しました。

どうか引き続きご愛顧のほどよろしくお願い

申し上げます。

 

「作品」

亡くなった母の荷物を整理していた。

亡くなって7年経つが、未だ整理が

つかない。

 

小指よりも短い鉛筆すら「捨てられない人」

だったので、とにかくその整理に時間がかかる。

 

生前、母の職業はアナウンサーで、ディレクターや

脚本など、その関連の仕事を兼務していたようだ。

その為、文を書き残すことが癖であり、仕事

でもあった。

 

長年、「読む」「書く」「話す」ことに

時間を費やし、その為に残した「作文」は

何百枚だろう?

全てに目を通すと、あと何年かかるやら(笑)

 

遺影の笑顔が曇りそうなので「作文」ではなく

「作品」と表現を変える(笑)

 

面倒とは言いながらも、その「作品」を

母に成り代わって、思い出すように読み

ながら楽しんでいる。

 

デパートの包装紙、スーパーの広告紙、

潰した菓子箱。何にでも「作品」を書いていた。

どんな紙も母にとっては「原稿用紙」

だったのである

 

そんな中、ある作品が目に留まった。

熨斗紙に書かれた「作品」で、

普通は裏の白紙部分に書くことが多いが、

敢えて熨斗紙の表に書かれた「作品」が

斬新に見えた。

 

手に取って読んでみると、熨斗紙の説明までは

書いていないものの、会食に行き、お土産を頂き、

お土産に掛けてあった熨斗紙だとすぐに分かった。

 

「作品」の登場人物は

兄、

兄がお世話になった大学の教授、

料亭の女将、

の四人で、教授にお誘い頂いて夕食をご馳走して

頂いたことが書いてあった。

 

冒頭、「その人は現れた」と始まり、

教授に対する感想が書かれていた。

 

日時、食事場所、景色、教授が遅刻した事、

遅刻の言い訳、言い訳をしていた時の表情、

女将とのやりとりなど、私もその教授や

女将の事を存じている為、40年近く前の

話も同席していたかのように「作品」を

楽しめた。

 

しかし、そんな「作品」に集中していたせいか?

その「作品」を読み終えてから、

初めて「原稿用紙」のデザインに気が付いて、

思わず声を出して驚いた。

と同時に「ご縁」を感じた。

 

その「作品」が書かれた「原稿用紙」は

私が和菓子店を開業する際、大変お世話になり、

影響を受けた社長様のお店「BAICAL」の熨斗紙

だったのである。

 

「BAICAL」は京都の老舗洋菓子店で、私が

百貨店勤務時代に無理をお願いして、お取引を

させて頂いたことがきっかけで、退職後も

色々なアドバイスを頂いていた。

 

当時、菓銘のつけ方については、社長様の他ならぬ

厚い思いや「拘り」を直々にご享受頂いた。

 

「京都に〇〇というお寺があって、

楕円型した襖の引手を表現して菓銘にしている」

「祇園の○○という場所の石畳を表現している」

など「外の人を受け入れない」という京都気質など

微塵も感じさせない。温かい言葉と分かりやすい

表現で私に説いてくださった。

 

現在は退任していらっしゃるようで、

随分とご無沙汰をしてしまっている。

 

 

そんな「BAICAL」と母の「原稿用紙」(表現が

失礼だが)で再会出来た。本当にご縁である。

 

菓銘は社長様には程遠いが、ご享受頂いた通り、

モノづくりとその表現には他ならぬ力を注いでいる。

モノから生まれるストーリーを大切にして。

 

先日も新商品が出来たので菓銘に悩んだ。

菓銘を考えるときには、頭の中に必ず社長様が

厚く語って登場して下さる。

 

加えて、「作品」から生まれた「ご縁」によって

兄、教授、女将、母と登場人物が4人も増えた。

私の「作品」の中で。

 

息子の事を考えて、私の「作品」や「原稿用紙」

は出来る限り少なくしたいものである。